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今年初め、私は「レジリエンス」「人材」「デジタルトランスフォーメーション」がアジア太平洋(APAC)地域の次の章を切り拓く鍵となるとお伝えしました。しかし振り返ってみると、2025年に実際に起きた変化は、当時の予想をはるかに上回るものでした。
市場や業界を超えて、多くの組織が「実験」から「本格展開」へ、「構想」から「加速」へ、そして「地域的な野心」から「グローバルな影響力」へと、大きく舵を切りました。そしてTPは、この勢いを牽引するブランドのパートナーとして、世界でも最もダイナミックな地域で、イノベーション・信頼・顧客体験(CX)のあり方が再定義される瞬間に立ち会えたことを、光栄に思っています。
ここでは、2025年のAPAC地域を象徴し、2026年の変革を加速させる3つの主要なシフトをご紹介します。
シフト 1:AIイノベーションと人間中心のデザインによる成長の加速
2025年は、APAC地域におけるAIへの認識が大きく転換した年となりました。企業が実験段階から実際の成果創出へ移行する中で、議論の焦点は 「AIに何ができるか」から「AIがどのような成果をもたらすか」へとシフトしました。
こうした背景こそが、私たちがAI活用の中核を担う基盤「TP.ai FAB」を開発した理由です。TP.ai FABは、データ、AIモデル、業界別の専門知識、そしてオーケストレーションを単一のフレームワークに統合し、企業が最も重視する成果(コスト効率の向上、サービス品質の改善、プロセスの迅速化、より優れた顧客体験)を導き出せるよう設計されています。
目的ごとに個別のツールを導入するのではなく、TP.ai FABは、企業がカスタマージャーニー全体でAIを統合的に活用できるプラットフォームを提供します。これにより、よりスマートで柔軟性の高いオペレーションを大規模に展開することが可能になります。また、インドネシアにおける TP.ai FAB のリリースを受け、より多くのパートナー企業様に対し、事業拡大、イノベーション推進、そして測定可能な成果創出の加速をご支援できることを、心より楽しみにしております。
文化的なニュアンスや共感が顧客の信頼を左右する APAC 地域において、この統合的な基盤は非常に重要になります。TP がこの分野で発揮してきたリーダーシップは、Frost & Sullivan「2025年アジア太平洋地域 年間最優秀企業賞」および「 Frost Radar™ 」での選出によって広く認められています。これらの評価は、AIの成熟度こそが同地域における次なるデジタルトランスフォーメーションの鍵となることを示しています。
シフト2:加速するAPACブランドのグローバル展開
2024年がAPACブランドの世界進出への第一歩だったとすれば、2025年は世界舞台への本格参入の年でした。
特に、国境を越えたGo-to-Market (GTM)戦略の準備を進めるデジタルネイティブ・ブランドの勢いは、目を見張るものがありました。APACは、5,500億米ドル規模のグローバルなクロスボーダーEC市場において最も急成長を遂げている地域の一つとなり、モビリティ、ゲーム、フィンテック企業もまた、複数の海外市場で存在感を高めています。
上海で開催された第1回「TP ChuHai Global Growth Forum」では、中国ブランドの海外進出がこれまで以上に加速し、より洗練された運用体制と強い推進力をもって国際展開を進めていることが明らかになりました。 こうしたブランドの海外進出が広がるにつれ、オムニチャネル対応、多言語サポート、迅速な立ち上げ、そしてグローバルに拡張可能なCXへのニーズはますます高まっています。
APACブランドにとって、グローバル展開はもはや「いつ行うか」ではなく「どれだけ速く、効果的に実現できるか」という問いへ変わっています。こうした潮流の中で、TPの次世代パートナーシップモデルは、継続してグローバル規模の成果を生み出しています。 2025年には、バリ、ジョグジャカルタ、クアラルンプール、シンガポールにサービス提供拠点を拡大し、文化的に精通し、かつグローバルに連携できるハブを構築。迅速なスケールアップを可能にする体制を整えました。。
さらに、このグローバル志向を後押しするため、既存のセールステックにシームレスに統合可能なRevenue-as-a-Service (RaaS/収益化サービスモデル)も強化。多くのAPACクライアントにとって、RaaSは今後の市場参入戦略の基盤となり、俊敏性と精度を備え、実行リスクを低減しつつ、高い成果を生むクロスボーダーセールスエンジンの構築を支援しています。
シフト3:業界は「信頼・リスク・回収」を近代化し、レジリエンスを強化
2025年はまた、不確実性が高まる時代において、レジリエンス(回復力)が競争優位となることを示した年でもありました。BFSI(銀行・金融サービス・保険)、フィンテック、デジタルプラットフォームの分野では、従来の「リスク管理」「コンプライアンス」「債権回収」モデルでは、予測困難さを増す現在のビジネス環境に対応しきれないという認識が広がっています。
特に金融機関では、債権回収を顧客生涯価値、収益、そしてブランドの信頼に直結する「戦略的機能」へと再定義する動きが広がっています。 TPがシンガポールで主催した「Ecosystm Roundtable」で得られた洞察も、この変化を裏付けています。現代の回収業務は、顧客ライフサイクル全体に統合され、金融サービス領域における予測AIを活用し、リスク管理とCXの双方と密接に連携する必要があります。
金融犯罪防止の分野でも同様の進化が見られました。2025年、多くの銀行が従来の事後対応型のコンプライアンスから、リアルタイム検知、ガバナンス強化、統合リスクインテリジェンスによるプロアクティブなトラストアーキテクチャ(ゼロトラストアーキテクチャ)へと移行し始めています。こうした動きは、地域全体におけるリスクおよびコンプライアンスの近代化トレンドを反映するものでもあります。
レジリエンスが単なる防御的対応ではなく、戦略的な能力へとシフトする今、早期に投資を進めた企業こそが、長期的な信頼と市場からの確固たる支持を獲得していくことになります。 TPはこれまで、クライアントと協働しながら、リスク管理業務の近代化、ガバナンス強化、そして予測およびインサイト主導のアプローチによる回収プロセスの再設計を支援してきました。
2026年の展望:AIオーケストレーション、信頼、そしてパートナーシップが鍵となる一年
2025年は、APAC地域において、イノベーション、人材、そして成長への強い意欲がかつてない形で結集した、大きな転換点となりました。しかし、この勢い以上に、これから訪れる次のフェーズこそが、同地域の未来をさらに大きく形づくる重要な時期になると考えています。
AIオーケストレーション導入企業の拡大:拡張知能(AI)を活用したサービスは、今後さらに業界の枠を越えて広がっていくでしょう。私たちは TP.ai FAB を通じて、企業全体のインテリジェンスを統合し、スピード感ある展開、一貫した品質、そして一人ひとりに最適化された体験を、大規模かつ継続的に実現できるよう支援します。
信頼を最優先にしたグローバル展開: TPは、APACブランドがコンプライアンスを順守し、倫理的配慮と文化的理解に基づいた顧客体験(CX)を提供できるよう支援します。進出するすべての市場で信頼を築き、それを長期的に維持するための基盤を共に構築します。
成長を加速させるパートナーシップ:国境を越えて競争力を発揮するために、APAC企業はグローバルな拠点網、確かな運用ノウハウ、市場インテリジェンスを備えたパートナーを、これまで以上に求めるようになるでしょう。2026年、TPはこれらの機能をさらに強化し、事業拡大の加速と複雑性の低減につながるパートナーシップの構築に注力してまいります。
2026年に向けて、AIオーケストレーションと人の知見、そしてグローバルな連携が、アジア太平洋地域の成長をさらに前進させる一年となるでしょう。